
赤ロムとは?
赤ロムとは、スマートフォンの本体代金が未払いのままになり、通信キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルなど)によってネットワークの利用が制限された端末のことです。
外見や基本操作は通常通りでも、SIMカードを挿入しても「電話」「SMS」「モバイルデータ通信」などが一切使えなくなるため、事実上「使えないスマホ」になってしまいます。
特に中古スマホを購入する際に注意が必要です。
赤ロムの仕組み
スマホを分割払いで購入
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途中で支払いを滞納
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キャリアがIMEI(製造番号)を登録
↓
ネットワーク利用制限(赤ロム化)
↓
次の購入者Bが使えなくなる可能性あり
※IMEIとは…スマートフォンに割り振られた固有の識別番号。キャリアはこの番号を使って制限をかけます。
総務省が赤ロム規制に動く?ネットワーク利用制限の原則禁止とは
2024年4月、総務省はスマートフォンにおける「ネットワーク利用制限」、いわゆる“赤ロム”の仕組みを原則として禁止する方針を示しました。
この発表はスマートフォンの中古市場や消費者保護の観点から、大きな注目を集めています。
赤ロムとは、主に分割払い中に支払いが滞ったスマートフォンが通信キャリアにより通信不能にされ「使えないスマホ」となってしまいます。
とくに問題なのが、そうした端末が中古市場に出回り、後から購入した利用者が通信できず困るケースが後を絶たないという点です。購入時には正常に使えていたのに、数週間後に突然赤ロム化されることもあり、消費者トラブルの一因となっていました。
フリマアプリやネットオークションを通じて個人間で売買された場合、購入者に返金保証がないことも少なくありません。
なぜ今、赤ロム規制?総務省の狙いとその背景
長らく放置されてきた赤ロムの問題に、なぜ今、総務省が動いたのでしょうか。
背景には、以下の3つの要因が大きく関係しています。
① 中古スマホ市場の拡大と消費者ニーズの変化
近年、スマートフォンの価格は上昇の一途をたどり、10万円を超える端末も珍しくありません。
その結果、多くの人が価格の安い中古スマホを選択肢に入れるようになっています。
しかし赤ロムの存在が、この中古市場への信頼を大きく損なっていたのです。
② 正規購入者も被害に?赤ロムがもたらす二次的トラブル
赤ロム問題は、不正利用者だけでなく正規にスマホを購入・使用しているユーザーにも影響を及ぼしてきました。
たとえば、第三者から端末を譲り受けたり、中古ショップで購入した端末が後に赤ロム化されたケースでは、何の落ち度もない利用者が被害を受けてしまいます。
③ 資源活用と環境配慮の観点
SDGsや循環型社会への意識が高まる中で、まだ使用可能な端末が「通信できない」という理由で廃棄されることの非効率さも問題視されています。
スマホは小型ながら多くの資源を使用しており、再利用可能な端末を有効に活用することは、持続可能な社会づくりにも貢献します。
総務省はこれらを踏まえ、「消費者の利益保護」と「中古端末の利活用推進」の両立を目指して、今回の方針を打ち出しました。
中古スマホ販売店で進む「赤ロム永久保証」
中古スマートフォン市場が年々活性化するなか、多くの購入者が気にするのが「赤ロム」のリスクです。
前述通り、総務省では赤ロム制度の見直しが検討されていますが、実は民間レベルではすでに安心して中古スマホを買える仕組みが整ってきています。
■ 保証制度の広がりとその内容
このリスクに対応するため、多くの中古スマホ販売店が「赤ロム永久保証」を導入しています。
これは、購入した端末が後に赤ロム化されても、返金または同等品と交換してもらえる制度です。
例えば、大手中古スマホ販売店「ゲオ」では、商品に同梱されている「納品明細書」があれば、期間に関係なく返金・交換に対応しており、購入者にとって非常に安心です。
■ 有償保証との違い
「赤ロム永久保証」は、多くの場合、追加料金なしで提供される基本保証の一部となっています。
これは有償保証(落下や水没などに対応するもの)とは異なり、端末の状態に関わらず、キャリアの都合で通信が制限された場合にも対応してくれる点が特徴です。
赤ロムにも役割があった?キャリア側の視点
■ 債権保護の手段としての赤ロム
赤ロムは「支払いを怠った人への制裁」というだけでなく、キャリアにとっては未回収リスクを抑えるための正当な手段でもありました。
たとえば、スマホを分割で購入した人が、料金を支払わずに端末だけを中古店へ売ってしまえば、キャリアは代金を回収できません。
赤ロム制度はこうした事態を防ぐための措置でもあるのです。
■ 規制が進むことで起こりうる変化
赤ロムが廃止されれば、キャリアは以下のような新たな対応を迫られます。
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購入時の信用審査の厳格化
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支払い保証サービスの導入
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債権回収の体制強化
その結果として、利用者にとって新規スマホ購入のハードルが高くなる可能性も考えられます。
「あえて赤ロムリスクあり端末を買う」テクニックとは?
■ 「△端末」購入という選択肢
中古販売店では、支払い中の端末(=将来的に赤ロムになる可能性がある端末)を「△」マーク付きで販売していることがあります。
こうした端末は価格が通常より安く設定されているため、あえて購入する人もいました。
たとえば、「イオシス」では、△端末が赤ロム化する確率はわずか0.15%。
「万が一赤ロムになっても、永久保証で交換や返金ができる」ため、実質的なリスクはほとんどない状態でお得にスマホを購入できる手段として注目されていました。
今後は「お得な購入術」が使えなくなる?
赤ロム制度が全面的に廃止されれば、こうした“裏技”のような購入テクニックは使えなくなる可能性があります。
もちろん制度が整理されることは消費者保護の観点で望ましいことですが、スマホ上級者にとっては購入の自由度が狭まるという一面もあります。
スマホの購入が「一律のルール」に縛られすぎないように、制度設計には柔軟さも求められるでしょう。
まとめ
赤ロムという仕組みは、リスクと安全性のバランスをとる役割を担ってきました。
しかし現在では、中古スマホ販売店の「赤ロム永久保証」が広く普及し、ユーザーが安心して中古スマホを購入できる時代になっています。
総務省の制度見直しが進めば、スマホ市場のルールは今後さらに変化していくでしょう。
私たち消費者としては、
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信頼できる販売店を選ぶ
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保証制度の有無を確認する
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最新の制度変更に注目する
といった姿勢を持ちながら、今後のスマホ購入をより賢く行っていくことが大切です。